Non Fiction/Histry(#1)

考古学的研究などの結果を元に、聖書時代に何が実際にあったのかを聖書の記述と比較しながら追って行く本である。

この本を読むメリットとして、旧約聖書時代のアジア・エジプト・メソポタミアの歴史を一通り押さえられる事が挙げられる。何故なら、イスラエルはエジプトとメソポタミアを結ぶ陸橋であり、勃興する帝国が経済的に重要なこの公路を必ず支配下に置こうとしたからである。つまり、イスラエルが元気の良い時は、周りは分裂の時代で、逆にイスラエルが征服されるときは、有力な帝国が中近東に現れるときな訳だ。……まあ、何とも皮肉な話だが。

冒頭にも書いてあるが、この分野の課題として、聖書外資料の不足や聖書の主観的記述などから、どうしても仮説的説明になってしまうという問題がある。考古学的な発見によって、ガラリと理解の枠組みそのものが変わってしまう宿命なのだ。しかし、真実に漸近していくのが科学的というもので、健全な姿勢でもある。

旧約聖書の中身を歴史叙述という第三者的な視点で読むことが出来るので、アレルギーや過大な美化のない、つまるところローカルな民族宗教の聖典としての旧約聖書に触れることができる。日本人にはうってつけな本だと思うなぁ。

英仏百年戦争についてコンパクトにまとまった非常に分かりやすい本。なぜ英国が大陸に領土を持ってたりしたのか、なぜ大陸への侵攻にこだわっていたのか、そもそも本当に百年も戦っていたのか……などなど、いまいち日本人にはピンとこない英仏百年戦争を楽しく説明してくれる。

本書は百年戦争以前、ブリテン島がフランスノルマン地方の豪族に征服された、いわゆるノルマンコンクエストから筆を起こしている。百年戦争は「英国がフランスと戦っている」という構図ではなく、「ブリテン島に飛び地を持ったフランス豪族」が大陸の本拠地奪還を続行していた争いであることが分かる。そもそもの前提が字面と違うのだ。

エドワード黒太子、シャルル5世、ジャンヌ・ダルクなど著者の小説を彩った人物を、史的な観点から簡潔かつ諧謔を交えて語るくだりも楽しい。一番良い点は、薔薇戦争までの欧州史を俯瞰する事ができるので、西洋に関する書物を読む際のバックグラウンドが広がる事。著者には小説だけでなく、こんな感じの本を色々と出して欲しいなぁ。