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無茶/叫び/廃線

子供の頃はよく無茶なことをするものだ。正確には「無茶な遊び」なわけだが、とにかく無茶なのは確かだ。
まず、わりとまともっぽくて良く覚えているのが「靴飛ばし」
「半分脱いだ状態の靴を助走をつけて飛ばす」ってあたりがおおよそ想像の範囲?
80%ぐらい正解。ただ大きく違うのは「助走」ではなく「ブランコの反動」で。
文章だとわかりづらいとは思うので、ざっと説明するとこういう過程。

1.ブランコをガンガン立ちこぎする
2.ブランコの円弧が180度に達しようかというところから、座りこぎに移行
3.片側の靴を半脱ぎ状態にする
4.地面に靴をこすらせながら勢い良く飛ばす

今思うに2の座りこぎへの移行が半端でなく怖い気がするんだけど、当時は難なくやってのけてたんだよなぁ。
この遊び、今の子たちはやってるんだろうか? 親が「危ない」って怒るか?

もうひとつが「二地点の両端からお互い走っていって、出会ったところでじゃんけん。負けたほうがスタートに戻る」というような遊び。どんどん勝ち抜いて、相手側の陣地に到着した方のチームが勝ちになる。
で、どこを走っていたかが凄まじい。なんと、有刺鉄線を張った木杭柵の上を走っていたのだ。
田舎のローカル線の駅はたいてい無人駅で、およそまともな駅舎なんてものはない。あるのはおんぼろな木造の掘っ立て小屋と駅区内を囲む有刺鉄線が張られた木杭柵だけ。その有刺鉄線はもれなく錆びている。
で、この遊びをしている若い頃の私、焦るあまり木杭柵から足を踏み外して落下……
小学五年生の頃、校則で決められていた半ズボン、生太ももに刺さる有刺鉄線……いたたたた……思い出す方が痛い。
ただ当時は余り痛いと思わなかったんだよなぁ。多分、アドレナリンが出まくっていたのと、実際さっくりとささると案外痛くないのかもしれない……

こんな風に学校帰りに駅で遊んでいるとそのうち電車が到着する。登り方面に帰る友人も、下り方面に帰る友人もいて、かくれんぼなんかしてて乗り過ごしてしまうと更に一時間の待ちぼうけを食らうことになる。悲しいかなローカル鉄道。
だから子供たちは叫ぶ「電車来たー」と。
最初は普通に叫んでいたような気がするが、そのうち妙な節回しなんかついて、腕を振り回しながら「で~んしゃきーたー♪」なんてやってたわけで。
そりゃ、近くの高校に通ってるお姉さん方も大笑いするって。

小学校の頃はその電車で通い、中学の頃は校庭の裏をその電車が走っていて、高校のときはその電車と競争するように自転車で通っていた。
終点間の距離はおよそ15kmぐらいしかないにもかかわらず、料金は480円(高校当時)と恐ろしく高く、高校生ならママチャリでも勝てる運行速度。
通常が二両編成で、通勤時のみ三両編成。閑散とする時間帯は一両編成でしかも電車の床は板張りという恐ろしく貧相な鉄道。
そんな野上電気鉄道は1994年に廃線となった。

当時の風景を捉えてあるページ→懐かしの野上電鉄思い出の鉄道写真館 野上電気鉄道

今年で廃線から10周年になるが「あの頃の記憶はこの電車と共にあったんだな」と少し感慨深い思いがこみ上げてくる。
今も帰省の時は海南駅から実家までこの線路に沿って車を走らせるわけだが、跡地にはもう線路も枕木もなく、一部はサイクリングロードのように舗装もされている。
もう二度とこの電車が走ることは無い。

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